最若手蔵元の成長日記

天領盃の新たなスタート

今日はこの場を借りて皆様にご報告させて頂きたいことがある。
言葉を飾らず、ストレートにお話しさせていただこうと思う。

2018年3月、私は天領盃酒造をM&Aした。
当時はまだ24歳。おそらく業界最年少蔵元になった。ここ佐渡の一酒蔵で人生をかけることにした。

加登仙一
1993年6月21日生まれ
千葉県成田市出身
法政大学国際文化学部卒業
趣味:ブレイクダンス/テニス

幼い頃からやんちゃ小僧で、小学生、中学生の時は親にもだいぶ迷惑をかけたと思う。
高校2年の時まではただ毎日遊びほうけていたが、受験勉強を通して英語、海外に興味を持つようになった。航空会社に勤めている母親の影響も大きかったと思う。
「いつか世界で仕事をしたい。」ただ漠然と考えていた。

 

~大学時代~
大学二年生の時、交換留学制度でスイスのザンクト・ガレン大学に留学した。
趣味のブレイクダンスを通じて大学内外に多くの友達ができ、授業が終わればそのまま街へ繰り出しストリートの仲間とダンスをする毎日で、刺激に満ち溢れた日々がとても早く過ぎていく充実した海外生活を送っていた。
留学生活が始まって3ヶ月が過ぎた頃、留学生の学生寮で行われたふつうの飲み会が私の人生の転機になった。

 

~転機~
飲み会が賑やかになる頃、各国の学生達が自国のお国自慢で盛り上がっていた。
「フランスのワインが世界で一番うまい。」「いや、スペインのワインだ。」「何を言ってるんだ、テキーラが世界一に決まってるだろ。」
私は側から笑って見ていたところ、友人が私に問いかけてきた。
「仙一、日本には何があるんだ?、俺SAKEって知ってるぞ!飲んだことはないけどどんな味だ?うまいのか?」
私はなにも答えることができなかった。自分の生まれ育った国の文化を語ることができなかった。
みんなは自国が1番だと口論になっている中、日本の良さをなにも語れない。
悔しい思いが込み上げ、今まで自国の文化や伝統に何一つ目を向けて来なかったことに気がついた。
この出来事が私を大きく変えることになる。

 

~「真の国際人」とは?~
英語が話せること?海外で仕事をすること?
違う。真の国際人とは、自国のことを理解し、誰にも負けないくらい語れる人だ。
この出来事をキッカケに日本文化に目を向け、一番興味を惹かれたのが日本酒だった。

 

~日本酒に関わる仕事がしたい。~
しかし現状、日本酒業界は斜陽産業。消費量は年々減っている。その業界に浸かる前に外の世界を知りたい。外の世界から日本酒業界に新しい風を取り入れたい。
その思いから証券会社に入社した。各業界で活躍している社長達から、色々な話を聞くことができた。運が良いことに、成績は順風満帆。毎日仕事が楽しかった。
そんな中、あるお客様に言われた一言で目が覚めた。「お前の本当にやりたいことはなんだ?やりたいことを仕事にしろ。毎日悩んで苦しむことがお前を強くするよ」
日本酒への思いを再度認識させられた瞬間だった。
そこからはとても早かった。会社を辞め、証券時代のお客様の縁もあり、後継のいない酒蔵の株を買い取らせて頂いた。M&Aというと正直良い印象はないかもしれない。だけど、今まで好きなことだけをとことん追いかけ続けてきた私だからこそ、好きなことで仕事がしたい。
北越銀行、日本政策金融公庫から協力していただき、24歳の無謀とも言える夢がスタートした。24歳が抱えるには想像できないくらい大きすぎる金額。それでも自分の酒造りがしたかった。この仕事にかけたかった。

 

~もっともっと日本酒を飲んでもらいたい。~
「日本酒の消費量が年々減っている。」と書いたが、私は前向きに考えている。
消費量のデータのみを見ると確かに年々減っているが、その中身を見れば、印象は逆転する。
現状まだまだ消費の大半が普通酒。純米酒や大吟醸など、特定名称酒と言われる日本酒の比率はまだまだ低い。
しかし、普通酒の消費量が年々減っているのに対し、特定名称酒の消費量は年々増えている。
ただ消費量が減っているのではなく消費ニーズの移り変わり、つまり今の日本酒は転換期にいるだけだ。
普通酒から特定名称酒へ。
酔っ払うための酒から嗜好品へ。
日本酒を楽しむ人たちが増えて来ていることの裏付けだととらえている。

「日本酒=おじさんの飲む酒」
そんなイメージは捨て去ってもらいたい。
今はどの酒蔵が造る日本酒を飲んでもどれも美味しい。
それは日本酒が低迷している時から、日本酒の可能性にかけて本当に美味しい日本酒を造り続けてきた先人達のおかげだ。

美味しいと感じる味は人それぞれ違うが、私が自信を持って「これ、うまいから飲んでみて!」そう言える酒しか造りたくない。
おいしいの答えは一つじゃない。人の数だけ答えがある。ただ、その答えが天領盃の酒ならこれほど嬉しいことはない。

代表挨拶にも書いたように、どんな時でもあなたが主役であり、楽しい時も悲しい時もあなたのそばにそっと寄り添える、私たちはそんな存在でありたい。
これからの天領盃酒造はスタートアップ企業だと思っている。金も知識も経験もない。あるのは覚悟と勢いだけ。

やっと立つことができたこのスタートライン。
信念は一つ。
「ただただ自分達が心から誇れる日本酒を造り、胸を張って皆様の元へ届けたい。」
そのための努力を惜しむつもりは一切ない。
設備が古くても、経験がなくても、お金がなくてもできることは全て挑戦していく。

これから造っていくお酒達が、私達の思いを皆様に伝えていく代弁者として活躍してくれるように、皆様がもっともっと天領盃酒造を、日本酒を好きになってもらえるように。
こんな若者でも必死に頑張ってるんだ、と勇気を与えられるような存在であるように。
一歩一歩前へ進んでいきたい。

天領盃の新たなスタート” への1件のフィードバック

  1.  かつて、1990年代までの天領盃は、佐渡を訪れるたびによく頂いていました。
     しかし、先代の社長が「全国で売れる酒にしたい」と酒質を変えてから、口に合わなくなって…。
     思いのある酒です。ぜひとも、新しく美味い〝佐渡の日本酒〟を醸してください。
     大いに期待しています。
     佐渡の向かいの巻から見ています。

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