1.佐渡の最高峰「金北山」と天領盃酒造の仕込み水
佐渡は沖縄本島の次ぐ、日本で二番目に大きい島です。島北部には金北山を最高峰とする1,000mを超える大佐渡山地があり、島南部には600mの山々が連なる小佐渡丘陵があります。この2つの山地の間には広大な国仲平野が広がり、豊富な日光量と山々からの水が流れ着く農地が広がっています。 金北山(大佐渡山地)と小佐渡丘陵は約500万年前、日本付近の地殻変動により、東西から圧縮される力が働き、約300万年前に海底から隆起した山です。 この2つの山から長い年月をかけて土砂が堆積していった結果、山と山が陸地で繋がり、約2000年前に現在の佐渡島の形が形成されました。大佐渡山地と小佐渡丘陵が隆起しなければ佐渡が生まれることはありませんでした。また、佐渡の山々は隆起する前は火山活動が盛んで、地中深くの岩石が溶け出した石英や金、銀などの鉱物を何度も溶かし込んでは上昇し、佐渡金山が生み出されました。金山だけでなく、佐渡の山々は火山岩や花崗岩を豊富に含んでおり、これらが天領盃酒造の仕込み水に大きな影響をもたらしています。天領盃酒造の裏手には金北山が広がっており、私たちも大佐渡山地と小佐渡丘陵の間にある平野にて酒造りを行っています。2000年前まで、海の底にあった地です。天領盃酒造の仕込み水は、長い年月をかけて金北山に積もった雪が地下に浸透し流れる、豊かなミネラルを含みながらも柔らかく澄んだ伏流水。そしてこの水は金北山から天領盃酒造に流れ着くまで40年の歳月をかけて、佐渡が生み出した天然のフィルターを通って濾過されてつくられています。豊富な火山岩や花崗岩を、そしてつい最近まで海の底に眠っていたミネラル豊富な平野を通ってきた天領盃酒造の仕込み水は硬度80の中軟水。その成分内訳はカルシウム硬度が75、マグネシウム硬度が5と、全国でも珍しいほどマグネシウムの少なくカルシウムが多い、まろやかなのにミネラル感のある水質です。マグネシウムは苦味を呈するミネラルで、カルシウムを多く含む水は味わいに膨らみや甘みを感じやすいとされています。この佐渡の成り立ちに深く関わる水が、雅楽代独特の優しくも力強い押し味(ミネラル感)を支えています。2.佐渡の農業と酒米〜朱鷺と生きる島〜へと続く…雅楽代シリーズトップへ戻る