酒蔵再建日記4

4.いざ、ザンクト・ガレンへ


2013.9.1
コンスタンツでのサマースクールを終え、皆と別れをつげる。
中にはこのままドイツの大学に進学する者、他国の大学へ進学する者、自国へ帰る者、そして、同じくザンクト・ガレン大学へ進学する者もいた。
遊んでばかりだったエフェはトルコの大学を卒業し、金融の仕事に就いているとのこと。ラミはイスラエル政府の外交官だ。そして僕は一企業の社長をしている。人生、なにがあるかわからないものだ。

ザンクト・ガレンはコンスタンツからDBで1時間ほどの街で、ザンクト・ガレン修道院は世界遺産にもなっている。修道院の中にはハリーポッターに出てきそうな図書館もあり、ザンクト・ガレンのほうが栄えているが、コンスタンツの方がヨーロッパらしい街並みで僕は好きだ。
ザンクト・ガレン駅に着き、住所と地図を頼りに自分の学生寮へ向かう。
Paradies Strasse(パラダイス通り)という幸先の良さそうな住所。ルームメイトはインド人とカナダ人で、二人とも明るくいいやつらだ。
荷物を置いてひと休みした後、駅に戻り街の中心地を探索してみることにした。
まず驚いたのが物価の高さだ。
ビックマックセットが約2,000円。そんな高級なハンバーガー、大学生の僕には手がでない。日本では600円くらいで食べることができるのを知っている。アルバイト募集の求人には、なんと時給2,500円!!
こっそりバイトしてみようかと、何度考えたことか。

スーパーの物価も日本では考えられないほど高い。
しかし、migrosだけは貧乏大学生の味方だった。
migrosとは日本でいうイオンのトップバリューのようなもので、むしろ日本より安いものもあり、エナジードリンクやポテチなどはその類で、しかもめちゃくちゃうまい。ちなみに、ドイツでもスイスでも日本のご飯(に近いもの)を食べることができる。正確にはジャポニカ米品種のお米があるというだけだが、海外で食べるジャポニカ米は感動を覚える。
そのジャポニカ米はMilchreis(ミルヒライス)という名で売られており、現地では米を牛乳で炊き、砂糖やジャム、ヨーグルトなどに入れて食べられている…
僕は一度も現地の正式な食べ方をすることはなかったが、ミルヒライスをスーパーで見た時にとてつもない安心感を覚えた。
名前や食され方は変わり果ててしまっていたが、お前は日本人が愛する「お米」だ。

話を戻そう。
中心地を歩き回っていると、偶然大学の同期と鉢合わせた。
そしてなにやら有益情報を仕入れたらしい。
それはスイスの鉄道にはハルプタクスとグライス7という特別チケットが存在するらしく、それらを買うと基本電車代が半額、夜7時以降は電車代が無料!!というなんとも信じがたい制度だ。
さっそく駅へその2つを買いに行った。ペラペラなチープな紙だったが、本当に手にいれることができた。
そして後々、このカードの恩恵を最大限に受けることとなる。

続く…

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