酒蔵再建日記1

1.憧れの海外へ

 

2013.8.6
「うっわ、、集合時間まであと30分しかない!空港まで送ってって!」
急いで車に乗り込み、ワクワクを親にバレないように噛み殺しながら平然を装う。
今日はドイツ、ボーデン湖のほとりにあるコンスタンツ大学のサマースクールへ参加するため、ドイツに出発する日だ。
ドイツで1ヶ月語学研修、その後スイスのザンクト・ガレン大学での派遣留学がはじまる。
…朝起きられないのは小学生の頃から今もずっと変わっていない。
成田空港まで車で20分もあれば到着する実家に泊まっていてよかった。

初めて僕のことを知る人のためにまずは自己紹介を。僕の名前は加登仙一。これで「かと」ではなく一応「かとう」と読む。
今は佐渡にある天領盃酒造の代表取締役兼製造責任者として日々お酒造りに向き合っている。
このnoteは酒蔵家系の生まれでもない僕が日本酒の酒蔵をM&Aし、どん底から少しずつ這い上がってきた過去を赤裸々に綴っていこうと思う。

僕は岩手県大槌町で生まれ、千葉県成田市で外国人が周りにいるのが当たり前の環境の中で育ち、いつか自分も海外で生活してみたいと思い続けて法政大学国際文化学部へ進学した。
そしてついに!憧れ続けた海外生活が始まろうとしている。
ドイツ/スイスを留学先に選んだのは…なんとなくだ。
大学進学の際に選択言語で鉛筆に番号を書いて転がしたらドイツ語になった。そして、大学の派遣留学先の中から英語圏かドイツ語圏の留学先を見た時にスイスがあって、今後人生でスイスに長期滞在することはないだろう。という理由でドイツ語圏の留学を決めた。
鉛筆にドイツ語選択を決めてもらい、なんとなく面白そうだからスイスにしたのだ。

僕にとっては留学先なんかぶっちゃけどこでもよかった。
言語を喋れるようになりたいのではなく、異なる人種のいる海外で生活してみたかったからだ。

成田空港に着くと、同じ留学先に行く同期たちはみんな揃っていた。
僕が1番最後に来るのはいつも通りで、みんなも想定内というような顔をしている。むしろ時間通りに来たことに感動している。
そしてなにより、みんな眠そうだ。
神奈川から通っている友人は朝4時起きだったという…。
僕は7時にゆうゆうと起きた。

大学に入ってから1年半、留学に向けて、ドイツ語の授業を受けてきた…が。
その中でも僕はダントツのビリ。
単位はいつもギリギリで先生たちにとってはただの問題児だっただろう。
ドイツ語しか話さないドイツ人の先生に日本語で怒られた思い出もある。
「次休んだら単位を落としますからね」
流暢で見事な日本語だった。
あ、この人日本語喋れるんだ…。
ヨーロッパの言語習熟度を判定する基準にCEFRというものがある。
A1〜C2まで各ランク2段階に分けられており、Aが初心者、Bが日常生活に支障がないレベル、Cがネイティブクラスといった具合。

もちろん、僕のサマースクールのクラスはA1。1年半も勉強してたくせにど素人だ。
そして、そこにはクラスメイトが3人いた。
「なんだ、お前らも隠れ落ちこぼれ組か!ドイツ行ったらがんばろーな!」と笑っていた。
成田空港から飛行機に乗り込み、約13時間のフライト。楽しいキラキラした留学生活のスタートだ!

続く…

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