〈製造ログ〉天領盃酒造 R7BY 雅楽代〜春風〜
加登のひとりごと。 3月が終わり、4月も半ば。僕にとって3月は毎年一つの節目となっています。と言うのも、僕が天領盃酒造をM&Aしたのが2018年の3月だからです。そして、M&A資金の返済期間は10年。あっという間に8年目が終わり、9年目に突入しました。と言うことは、後丸2年でM&A資金の返済が全て終わるということです。実はこの2年後が結構楽しみなんです。初めて自分で背負った大きな借り入れが全額返済になる日。どんな感情でその日を迎えるのか。安堵なのか、達成感なのか、はたまた次へのチャレンジに向けてまた動き出すのか。 2018年に立てた10年計画はずっと捨てずに眠っています。返済が終わった日、当時の計画と天領盃酒造の現在地を見比べてみたいなぁと思っています。まぁ、今もある程度覚えているのですが、全く違う方向に進んでいます笑当時の業界を何も知らないど素人が立てた計画を肴にお酒を飲みたいなぁと思います笑 そして、2020年からは5か年計画表も作成していて、2026年1月には2030年までの5か年計画も策定しました。ここでは公開できませんが、この事業計画の毎年の振り返りも実はいつも楽しみにしています笑 どこまで計画を進めることができたのか、はたまたストレッチで計画以上の進捗なのか。数字や自分が立てた目標の進捗を見るのがいちばんの楽しみかもしれません。そう考えると、僕はいわゆる「職人」ではなく、経営者気質の方が強いんだろうなぁ。2年後が待ち遠しい! 製造技術 さて!新たにリリースした雅楽代〜春風〜。実はこちら、少しトリッキーなお酒なんです、気がつきました?笑ちなみにこのお酒の違和感に気がついた人がいるなら、素晴らしい利酒能力だと思います! 春風は白麹を使用しています。通常白麹を使用すると酸が出るわけなのですが、春風は酸っぱくないんですね。通常のお酒と同じくらいの酸度です。だけど白麹らしいクエン酸のニュアンスや、少しいちごっぽい香りがあり確実に白麹は存在を主張しているわけです。…なぜ?ということでここからが製造技術です。 このお酒のトリックは「低酸性酵母×白麹」にあります。通常の901号酵母を基準として酸度指数「0」だとすると、低酸性酵母=マイナス1、白麹=プラス1。マイナス1+プラス1=0に戻るわけです。 なので、酸度は通常の901号酵母で製造したお酒とあまり変わらないのに、いちご様の香りや白麹らしい酸も感じるちょっと不思議なお酒に仕上がっています。みなさん付いてきてますか?笑 今までの白麹の日本酒は、通常の日本酒の味わいに白麹の味わい/酸度をプラスするものが多いなと感じていました。白麹の味わいは引き出しつつ、全体のバランスは変えない。そんなお酒を目指して設計したのがこの春風です。春〜夏の移り変わりの時期。夏の訪れの前兆を感じるような、新緑と少しずつ強くなっていく日差しの季節をお酒で表現してみたつもりです! テイスティング グラスに注ぎ、立ち上がってくる香りは清涼感のあるラムネの中に、マスカットや少しの甘さと酸味を感じる様ないちごのニュアンスも。 口に含むと、雅楽代らしいなめらかで柔らかく線の細い甘みを感じ、中盤ではその甘みが少し膨らんできます。飲み込む少し前には白麹らしい酸味がちょこっと顔を出し、味わいの輪郭を作りながら静かに喉の奥に流れていってくれます。 このお酒、僕は結構好きです笑僕はよく、この手の味わいの移り変わりを「味わいの起承転結」と表現しているのですが、移り変わりがとてもスムーズで、ドラマとかでよくある?、晴れた木漏れ日の中で女性が踊っている様な情景が思い浮かぶお酒でした。「味わいが踊るようにストーリー性をもっているお酒」なんか今回のログはちょっとロマンチストっぽいですね笑