〈製造ログ〉天領盃酒造 R7BY  雅楽代〜玉響〜(生)

加登のひとりごと。

早いことで今年も12月も半ば。
酒造りも出荷も一番の繁忙期に突入しています。

今年の酒造りは結構難しくて、前の製造ログにも書いたかもしれないですけど、香りが出ないんですよねぇ。
お米も品種によって溶け方が全然違う。五百万石は全然溶けないし、逆に一本〆だったり、越淡麗だったり、こしいぶきは結構溶ける。

けど共通して香りがやっぱり穏やかっていうのが今年の弊社のお酒の特徴かなと思います。
けどやっぱり今後は例年並みに香りを出すためにはどうしたらいいか、試行錯誤をしていきながらより良い酒造りに励んでいきます。お酒造りは毎年が一年生。その年その年に合わせた酒造りのプロセスを考えるのが一番楽しいですね。

話は変わって、実は今もう加登は出荷作業だったり仕込みだったり、実際の現場作業にはほとんど入っていません。
ですが、つい最近ほんとに久々に現場作業に入ったらみんなの成長にとにかく驚いた。

僕が思ってるよりもよく仕事が早くなっているし、一年前の12月とは比べ物にならないほど作業スピードが向上しているし、まぁ、まだ全体の統率というか、マネジメントはしっかり取れてないんですが、けど、僕が想像していた以上の成長で、すごく頼もしく思いました。

一番会社だったり、みんなの成長に気づけてなかったのは自分だったかもしれないですね。反省。

製造技術

何年も前から同じことを永遠言っていますが、僕はいつまで経っても器用にお酒が造れるようになりません。笑

淡麗系のお酒を造っていたら、みんな淡麗系に寄ってきちゃうし、甘めに造っていたら、みんないつもより少し甘くなっちゃう。

なので、一番苦労するのがこの玉響です笑
現在、雅楽代シリーズはどんどん淡麗な味わいにシフトしている中、こいつだけはしっかり濃醇甘口。
弊社には仕込みタンクが10本あるわけなのですが、大体は同じような経過を辿らせている中、急に玉響が入ってくると、「あれ、こいつどんな風に造ってたっけ?」となるわけです。

なので、世の中の杜氏さんってほんとにすごいなぁと思い
ます。
いろんな酵母やレシピを造り分けて、多彩な味わいを造っている。
僕にはそれができないんだよなぁ。
実は、雅楽代シリーズのレシピって、どのお酒もほとんど差がないんですよ。もろみ日数も全部同じだし、使用している種麹菌も全部同じだし、違うのは酵母とお米くらい。
けど、明確な味わいの差を造るためのチューニングポイントがあって、なるべく変数の少ない酒造りを目指しています。
なぜなら僕が器用じゃないから笑
変数を増やしすぎると、もう大変。何が何だかわからなくなります。
器用に酒造りできるようになる日は来るのでしょうか...

テイスティング

上立ち香は上品で穏やかな吟醸香。
雅楽代に共通する、マスカット、ラムネ様の清涼感のある爽やかな香りに、甘さを感じるニュアンスも含まれています。
口に含むと通常の雅楽代シリーズと比較するとまったりとしたボリューム感を感じますが、後味は決して重くなく軽やか。

個人的おすすめ温度帯は常温です。
温度が上がった方が甘みを感じますし、玉響の印象に近いと思います。
これからの季節、鍋に入っている白子だったり、すき焼きだったり、味わいのまったりした料理が多くなってきますが、玉響はそこにピッタリ!
料理の味わいのインパクトにも負けないボリューム感を楽しんでください!

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