〈製造ログ〉天領盃酒造 R7BY  雅楽代〜風花〜(生)

加登のひとりごと。

12月も下旬。年内最後の製造ログです。
皆様、今年はどんな一年でしたでしょうか。
天領盃酒造は、生産量が増え、現在の設備では生産量の限界地点が目前。今年は9月〜5月までの仕込みで過去一の製造期間となりました。
これもひとえに、弊社のお酒を飲んでくださる皆様の、そしてお酒を一生懸命販売してくださる酒販店様たちのおかげだなぁとしみじみ感じます

その期待に応えるべく、僕たちも日々お酒の改良に努めているわけなのですが、理想は高くなるばかり。
7年前のお酒造りを始めたばかりの僕が、今の酒を飲んだら「俺は天才か!?」ってなっているでしょうね。調子に乗りやすいので、僕。

けど、今の僕が今のお酒を飲んでも決して満足しないわけです。
タンク一本造るたびに、「いや、本当はもっとこうしたい。これも違うな…あれも違うな…」と満たされる事はない。

造り手は満足したらおしまいだと思います。

満足した瞬間、それ以上のものは生み出せないんですよね。そう考えると、一生満足することはないんだろうなと笑

もちろん、「これうまいじゃん!!」って思うお酒も年に数本生まれます。
けど、次の瞬間には、それが新たな基準になっていて、もっとうまい酒を造るにはどうしたらいいんだろう、何が足りないんだろう。という思考に切り替わっています。

どれだけ生産量が増えようが、年数を重ねようが、
僕たちの酒造りに終着点はなさそうです。
すべては皆様の「うまい!」の笑顔のために。

製造技術

今年の風花は昨年から大改良。

まず瓶の形状も王冠口からスクリューキャップに変えました。これにより、よりしっかりとスパークリング感を楽しんでいただけるかなと思います!

製造方法も大きく変わり、もろみ日数を大幅に短縮。これは瓶内二次発酵を踏まえて早めに搾り、瓶の中で続きの発酵をしてもらうため。そのためには酵母の餌になる糖分を残す必要があるんですね。
普段の雅楽代の造り方だと、瓶内二次発酵を行うには糖分があまりに少なすぎるわけです。

けど、雅楽代らしく「新しい新潟淡麗」に則った味わいにしないといけない。
これがまた難しいわけです笑

糖分を多めに残せば容易に瓶内二次発酵してくれるわけですが、雅楽代らしさがなくなる。

逆に雅楽代らしさに引っ張られすぎると、瓶内二次発酵しなくなる…。
淡麗な酒質って、本当に繊細な造りをしないといい酒にならないんですよね。

おりの量の調整もまた難しい。どれくらいおりを入れるかでテクスチャーも発酵具合も大きく変わります。
けど今回ピッタリと理想の味わいに近づけたと思います!
もう少しだけ甘みを減らしてもいいかな?くらいですね。
来年はそこも微調整したいと思います!

そして…もろみ日数を短くした結果、数歩合が爆増。
こちらも来年の要改善点ですね…

おりも丁寧に何度もこしているので、とてもシルキーな舌触りになっています!

テイスティング

最初にお伝えしておきます。今年の風花、今期イチの出来栄えです!!
加登のひとりごとで満足しないと言っておきながら、このお酒はめちゃくちゃいいです!笑
初めて製造ログを読まれる方のために言っておくと、僕が自社のお酒を褒めることは滅多にありません。年1、2回あるかないか。なので、風花はぜひ飲んでいただきたいです!

マスカットとラムネが混ざり合ったほんのり甘みを伴った上立ち香から始まり、口に含むと一拍置いてやわらかな甘みを感じます。ポカリスエットみたいな優しい味わい。

瓶内二次発酵によるしゅわしゅわ感も感じつつ、苦味や渋みを全く感じることなく綺麗にフェードアウト。
風花、うまいです。

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