〈製造ログ〉天領盃酒造 R7BY 雅楽代〜若月〜
加登のひとりごと。 いよいよ9月。天領盃酒造では、9月4日からR8BYの酒造りが始まります!毎年この時期になると、「また一年が始まるなぁ」という独特の緊張感があります。酒造りに関しては毎年同じことを繰り返しているように見えて、実際は設備も、技術も、蔵人の経験値も少しずつ変わっていて、全く同じ年というのは一度もありません。そして今年は、酒造りの中でも特に重要な設備を大きく更新しました。 最新型のコシキを導入!今までよりも一度に多くのお米を蒸すことができるため、これは来年度以降の増石に向けた設備投資でもあります。ただ、僕が一番期待しているのは製造量よりも品質面。今回導入したコシキは蒸気圧を細かくコントロールすることができるので、その日の気温や米の状態などに合わせながら、僕たちが狙った蒸米をより安定して造ることができます。そして、「今日はいい感じだった!」ではなく、最高の蒸米を毎回同じように再現できることがとても大切なわけですが、今までのコシキだったら、長年の天気やその日の蒸気圧の記録と経験がないとできません。 設備の力も借りながら、今まで以上に安定して理想の蒸米を造ることができれば、酒質はもう一段階、もう二段階上げられると思っています。 新しい設備とともに始まるR8BY。ウキウキとドキドキのシーズンのスタートです! 今年度の天領盃酒造もよろしくお願いいたします! 製造技術 今回新しくリリースする、秋限定の雅楽代〜若月〜。初出荷のお酒です! 9月というと日本酒ではひやおろしのイメージが強いですが、若月はひやおろしではありません! 天領盃酒造ではお酒を基本的にマイナス5度の冷蔵庫で管理しているため、熟成させて秋まで寝かせたお酒というよりは、あくまで「秋の味覚に合わせて酒質を設計した秋の限定酒」という位置付けです。 秋になると、きのこ、秋刀魚、鮭、根菜など、夏と比べて旨みが強く、味わいにも厚みのある料理が増えてきます。 そういった料理に合わせるには、普段の雅楽代よりもう少しだけ味わいに膨らみが欲しいけど、濃く重たいお酒にはしたくない。 そこで今回応用したのが、春風を造る中で生まれた「低酸性酵母×白麹」という製法です。 白麹の使用量はかなり少なめで、酸を出すのではなく、味わいの中にほんの少しだけ輪郭と膨らみを持たせ、その上でお米由来の旨みを主体に感じられるような酒質を狙いました。まろやかで膨らみがあるけど、重たくない。ここが今回の若月で一番大事なところで、雅楽代の目指す「淡く、麗しい」新しい新潟淡麗に則った酒質であること。 旨みを増やした分、そのままでは味わいが重くなってしまうため、アルコール度数は普段より少し低めに設計し、飲み口の軽やかさとのバランスを取っています。 旨みを増やす=濃醇にする ではなく、雅楽代らしい透明感の中で、どこまで味わいに膨らみを持たせられるのか。を考えながら造った、今までとは少し違う秋の雅楽代です! テイスティング 上立ち香は、雅楽代らしい穏やかなラムネ様の吟醸香。香りを華やかに出しすぎず、落ち着いた印象です。口に含むと、最初のタッチはやわらかく、いつもの雅楽代よりも少しふっくらとしたお米の旨みが広がります今回特徴的なのは、この中盤の膨らみ。 まろやかでふくよか。でもアルコール度数を少し低く設計しているので、後半に重たさは残らず、そのままスッと軽やかにフェードアウトしてくれます。 秋酒だから旨みしっかり濃いめのTHE ひやおろしではなく、雅楽代らしい淡麗さの中に秋らしい旨みと膨らみを両立させたお酒になったと思います!個人的には、秋といえばやっぱり秋刀魚の塩焼きと合わせたいですね! 新しい秋の雅楽代を、ぜひ秋の味覚と一緒にお楽しみください!