〈製造ログ〉天領盃酒造 R7BY 雅楽代〜玉響〜
加登のひとりごと。 5月18日、R7BYの皆造を迎えました!事故なく今シーズンを走り切ることができてまずは一安心。今年の酒造りはほぼ、加登が造りに入ることなく、蔵人のレベルアップを図った1年でした。その中でもろみ経過が大きく変わったり変化も多い1年だったなぁと感じています。しかし、蔵全体の、酒質全体のレベルアップができたかというと、素直に首を縦に振ることはできないかもしれません。変化が大きかった分、まだまだ未完成な部分も多く、sake competitionの予選通過、上位入賞も去年よりも数字を落とす結果に。 ただ、来年に向けての布石になったと思っています。今期のもろみ経過の変更と去年までのもろみ経過の融合や、製麴方法の変更、最新型の蒸米機の導入など、製造技術的にも製造設備的にも今期よりもレベルアップが見込めるはず。来季に向けてのレベルアップも、昨年よりも各コンペティションの結果が振るわなかったことも、一番実感しているのは僕よりも蔵人たちだと思います。今期の悔しさをバネに、来期に向けて着実に準備、技術研鑽をしてくれると僕は信じてます。 高くジャンプするためには屈まないといけません。かがむ年が今期。ジャンプする年が来期です。 といっても、いい酒質だと思いますけどね笑ただ、全国トップレベルでの戦いというのは、1点0.5点、もしくは0.1点を競うとてもシビアなもの蔵人全員がそれを痛感したと思います。 来期の彼らの活躍が今からとても楽しみです。 製造技術 玉響は今回の火入れをもって終売となります。製造技術というよりも、過去の玉響の遍歴を振り返ってみようかと思います。玉響とは、勾玉と勾玉がカチッとぶつかる刹那の瞬間を表した大和言葉です。一瞬の時間→一瞬のインパクトのある味わいをテーマにしたお酒で、雅楽代をリリースした2019年から造ってきた雅楽代シリーズ始まりの1本の一つです。 当初は僕がお酒の造り分けが全くできずに、月華も玉響もおんなじような味わいでした。コンセプトは真逆でしたが… そこから2021年くらいからでしょうか、しっかりと味わいに膨らみを持たせて、ボリューミーな、当時思い描いていた理想的な玉響が出来上がり、2023年のsake competitionでは純米部門で6位を獲得し、天領盃酒造の成長を加速させてくれた思い出深いお酒です。しかし、時ほぼ同じくして、味わいの追求だけではなく天領盃酒造のオリジナリティ、哲学を求め始めました。そこで生まれた雅楽代の醸造哲学が「新しい新潟淡麗」の創造。綺麗で軽く穏やかな、淡く麗しい、新潟らしい、佐渡らしい酒を造るということ。その哲学に、ボリューミーでどっしりした甘みのある玉響はコンセプトに合わなくなってきてしまったと感じていました。思い出深いお酒だけど、今後の雅楽代のテーマにはそぐわない。散々悩んだ結果、さらなる雅楽代シリーズの成長のため、玉響の歴史に幕を下ろすことを決めました。雅楽代リリース当初から共に歩んできた銘柄がなくなるのは僕としてもやっぱり少し寂しい気持ちもあります。 最後の玉響、ぜひ飲んでいただけると嬉しいです。 テイスティング 雅楽代らしい白ブドウ系の香りやラムネ様の香りに、甘みの強いお酒によくある、香りからも甘味を伴った香りも混在。 今回の玉響は、実は「新しい新潟淡麗」を意識した今までの玉響よりもライトな味わいに仕上がっています。過去の甘みの強い玉響から、これからの雅楽代へのバトンタッチ、移り変わりを味わいで表現してみたつもりです。 過去の玉響の強い甘みが好みだった方には少し申し訳ないですが、味わい的にはより雅楽代らしい玉響になっているかなと思います。どちらかというと系統的には日和に近くなったイメージです。けど日和よりも重心は低く、旨み、甘みをしっかり感じてもらえる仕上がりです!