こんにちは!
天領盃酒造蔵元の加登です。
佐渡はだんだん寒くなってきましたが、皆様の地域はどうでしょうか、季節の変わり目、体調崩さないようにお気をつけくださいね!
寒くなってきたということは、、、そう。
お酒造りのシーズンになってきたということです!!
今回が初酒造りの僕ですが、蔵元になってから約半年間、酒造講本という本を何回も読み込んだり、いろんな講習会に行ったり、いろんな蔵見学をさせて頂いたり、酒販店さんからアドバイスをもらったり、、、周りの方々に支えられて少しずつ知識を増やしていきました。
その中で今季からどうしても取り入れたかった醸造機械があったんです。
MJP洗米機と脱水機!!
MJP洗米機はお米をシャーっと入れたら、水流に乗って噴水みたいにシャーーーっと出てくるんです。感動〜。(何言ってるかわからないですよね、お米磨く前に語彙力磨きます。)
気泡を爆発させることで米ぬかが綺麗に取れるんです。そのあと浸漬後に脱水機で強制的に吸引脱水させることで吸水率を均等にすることができます。
この2つを組み合わせることで弊社の原料処理が飛躍的に向上します。
「よし、買おう。」
るんるん気分で意気揚々と電話してサイズ、値段を聞いた加登。
「◯◯◯万円になります」
「……。だ、脱水機はおいくらでしょうか…?」
「◯◯万円になります」
…ムリムリムリ!!買えない!そんなお金ないいいい!!
早くも日本酒業界の洗礼を浴び、意気消沈。
中古で買おう、そうしよう。
中古商品を探していると、気になるワードが。『MJP式洗米機』
なんだこれは。思わずクリック。
姿形うりふたつ。そして安い!とてもかなり超絶安い!!
すぐさま電話して問い合わせました。すると、飲食店向けに開発したMJP洗米機の理論を用いた洗米機で、飲食店は母体数が多いので価格も安くなるとのこと。神様…。
ただ酒米はくっつきやすいので洗米中に手でかき混ぜてください。とのこと=冷たい水に常に手を入れっぱなしにしてください。ってことですね…
やってやろうじゃないか。それで品質が上がるなら。変わらなかったら覚えてろよ!!と意気込み早速購入。
結論。めちゃくちゃ良い!!疑ってごめんなさい☆
その代わり手はかじかんでオイルの切れたロボット状態です。
それでも品質が上がって、皆様に喜んでもらえるなら、僕は何時間でも水に手つっこみ続けますよ。
洗米機はなんとか確保。名前は木村くんです。(これで何かわかったらもう業界の方でしょう。笑)
こだわり始めると止まらない性格なのでどうしても脱水機が欲しい!毎日のように商品画像を見て、いいなぁ。と思っていました。
おもちゃ売り場でどでかいレゴブロックを羨ましそうに見ているちびっこの気持ちが良くわかります。
そして、加登、開き直ります。
買えないなら作るしかない!!とにかく吸引できればいいんだ。姿形は問わない。結果が同じなら過程なんかなんでもいい!と、急遽DIYが始まったわけですねぇ。
完成したのがこちらです。
(「あべ」で人気急上昇、最近良くして頂いている阿部酒造さんも手作りしており、参考にさせていただきました。ありがとうございます。)
なんとか造りまでに間に合わせることができました。早くMJP洗米機だったりいい設備を取り入れられるようになりたいなぁ。欲しいものはいっぱいあるんです。
貯蔵用の大きな冷蔵庫も欲しいし、小型ラベラーも欲しいし、小型瓶詰め機も欲しいし、5000Lクラスのタンクも欲しいし、一番欲を言えばパストライザーも欲しい!!
焦ってもしかない、一歩ずつ進んで行きます。
さて、日本酒を造り始めてはや10日。(まだ10日)
洗米して、浸漬して、お米蒸して、麹造って、タンクに入れて、酒母入れて、、。
お酒ができる本当のスタートラインは麹米、蒸米、酒母、お水を入れてから発酵が始まるわけです。
一個疑問に思ったことがあります。
「あれ。酒造りって言うけど、俺酒造ってねぇじゃん。麹くんと酒母ちゃんが造ってるよね、日本酒。」
僕がしていることは原料処理と温度管理、多少のお世話(かき混ぜたり)。
いかに麹くんが住みやすいお家(お米)にしてあげて、いかに麹くんと酒母ちゃんが過ごしやすい環境を作るかだと思ったんです。
以前杜氏さんが言っていた、
「酒造りの主役は蔵人じゃない、微生物なんだ。蔵人は裏方に回って彼らの成長を見守り、たまに手助けしてあげるだけなんだよ。」
今、その意味が少しわかった気がします。
発酵が始まって、赤ちゃんができて、ちょっと思うように発酵が進まないときは反抗期。少しずつ手を貸して純粋に育てていく。手間暇はかかるけど、これからどんなお酒になるのか。できたときが楽しみです。
新酒は11月中頃を予定してます!僕が造る初めての日本酒です。至らないところはまだまだたくさんあるだろうけど、精一杯醸していきます。
皆様応援よろしくお願いいたします!!